ない過払い金|監査請求前置の有無について(本案前の争点i)

過払い金の前置でされた不適法なものであったというべきである。


差止めの対象とする本件各工事を進行させることは, A株式会社による契約の履行行為であり,上記財務会計行為のいずれにも該当 せず,住民訴訟において差止請求の対象とはできないものであるから,当該差 止めの訴えは不適法といわざるを得ない。
原告らは,被告らが発注者たる堺市の執行機関としてA株式会社に対し本件 各工事の続行を停止させる権限を有していることを,訴えの適法性の根拠とし て主張している。
しかし,本件各工事の続行を停止させる権限の発動を求める ことは,執行機関等に対する義務付けを求めることにほかならず,かかる訴え は,法の認める住民訴訟の類型に該当しない不適法なものであるとの結論を左 右しない。
したがって,原告らの主張は採用できない。
3 配水管布設工事の請負代金の支出に係る差止請求の訴えの適法性について
(本案前の争点iii)
前記前提事実(第2の2)(3)エ,オのとおり,配水管布設工事は,平成20 年8月29日に竣工して,工事検査確認及び引渡しがされ,同年9月30日, 堺市からA株式会社に対し,配水管布設工事の請負代金全額が支払われている。
そうすると,配水管布設工事に係る請負代金の支出行為は,口頭弁論終結時 において既に完了したことが認められるので,同行為を差し止める余地はなく なったものというべきである。
したがって,配水管布設工事の請負代金の支出行為につき差止めを求める部 分もまた,差止めの対象を欠く不適法なものである。
4 クラスター工事に係る随意契約の適法性について(本案の争点i) (1) 前記前提事実,証拠(甲9,10,13,16から19まで,28,30, 乙4から7まで,9,10,18,19,37)及び弁論の全趣旨によれば, 以下の事実を認めることができる。
ア堺市の企業誘致施策
堺市は,従前から,堺市内の工業に適した土地に企業投資を誘導するこ とにより,堺市における雇用機会及び事業機会の拡大並びに産業の空洞化 の防止を図り,もって地域経済の活性化,産業の高度化及び市民生活の向 上に寄与することを目的として,堺市への進出企業に固定資産税の減税等 の優遇措置をとることを定めた堺市企業立地促進条例(平成17年堺市条 例第21号)を施行するなど,積極的に企業誘致を推進する政策をとって いた。
特に,クラスター事業用地及びD株式会社工場用地を含む堺市臨海 部には,約277ヘクタールもの遊休地があったことから,大阪府や地権 者であるC株式会社とも協力しながら,活発な企業誘致活動を行っていた。
イD株式会社の堺市進出の決定
(ア) 堺市が企業誘致を推進する中,D株式会社は,平成19年6月,堺 市での工場建設を検討していることを表明した。
これに呼応して,堺市 は,同月18日,堺市関係局長会議において,D株式会社誘致の成功に 全力を尽くすことを決定した。
(イ) 堺市は,平成19年6月19日から,工場進出に関するD株式会社 との話し合いを開始し,同年7月31日には,D株式会社の堺市進出及 び工場建設が正式に決定された。
D株式会社は,同年9月20日,C株式会社との間で売買契約を締結 してD株式会社工場用地を取得し,A株式会社との間で請負契約を締結 して,同年11月には,D株式会社工場の建設工事に着工した。

債務不履行

原告Bが,a町国民健康保険病院(以下「被告病院」という。)で原告Cとの間の子である原告Aを出産した際,被告病院の医師が原告Bの常位胎盤早期剥離(以下「早剥」という。)の発症を見落とし,あるいは早剥の発症を疑って適切な経過観察をすべきであったのにこれを怠ったため,早剥の発症に気付くのが遅れ,その結果,原告Aが重症胎児新生児仮死の状態で出生し,現在も脳性麻痺等の状態にあって回復の見込みがなく,また,原告Bも播種性血管内凝固症候群(以下「DIC」という。)となり,子宮膣上部切断術を受け,二度と子を産めない状態になったとして,原告らが,被告病院を運営していた京都府竹野郡a町の債権債務を,町合併により包括的に承継した被告に対し,診療契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償及び不法行為の日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めた事案である。
D医師としては,原告Bが妊娠中毒症の状態にあることから,一般の妊婦よりも早剥発生の危険が高いことを念頭に置き,E助産師から入院時モニタリングの記録紙を見せられた時点で,同助産師に対し,胎児心拍数モニタリングを連続的,あるいは断続的に実施することを指示すべき注意義務があったということができ,これを怠ったことについて,D医師に注意義務違反があったとの評価を免れないというべきである。
なお,E助産師は,入院時モニタリングを中止した後,午前11時ころ分娩監視装置を使って,午後1時ころ胎児ドップラを使って,それぞれ胎児心拍数が正常であることを計測,確認したが,胎児心拍数の計測だけでは,徐脈や頻脈をとらえることはできても,胎児心拍数の一過性の変動や子宮収縮との関係はとらえることができないから,これでは経過観察として不十分であることが明らかである。


A株式会社は,それまでのD株式会社の国内工場の建設工事の大半を 請け負うなど,D株式会社との間で密接な関係にあった。
(ウ) 堺市は,D株式会社工場の誘致により,法人市民税の増大による税 収構造の強化,雇用の創出効果,従業員の市内在住による経済効果等, 低迷している地域経済の活性化を期待しており,D株式会社誘致成功を 市の重要施策と位置づけている。
クラスター事業の概要
(ア) クラスター事業は,堺市における中小企業の流出を防止し,その高 度化を支援することにより,市内産業の活性化を図ることを目的とした 堺市の施策である。
堺市は,C株式会社及びE商工会議所とB中小企業 クラスター形成検討協議会を設置するとともに,C株式会社からクラス ター事業用地の無償譲渡を受けた上で事業を実施し,先進的な中小企業 の集積拠点として整備することを予定していた。
クラスター工事は,道路を含めたクラスター事業用地において,切土 や盛土を行い,同用地を平坦にすることを内容とする造成工事であり, 平成19年3月時点で,造成に係る切土は10万立方メートル,盛土は 9.82万立方メートルと設計されていた。
(イ) 堺市は,平成18年度中にクラスター事業の基本計画を策定し,平 成19年3月,C株式会社及びE商工会議所との間でクラスター事業用 地に係る土地譲渡の覚書を交わし,同年4月11日,クラスター事業へ の進出企業の公募を開始した。
同公募における対象事業者は,「中小企 業者であって,製造業,新エネルギー供給業及び情報通信業を現に営む 者で,Bにおいて同事業を実施しようとする者」とされた。
現在までに クラスター事業用地への進出を予定している中小企業は10数社であり, 堺市では,雇用創出効果や税収増の効果等を期待している。
(ウ) 平成19年6月ころ,D株式会社の進出表明を受けて行われた堺市 との話し合いの過程で,D株式会社工場の建設工事やインフラ整備に関 連して,クラスター事業用地内の道路の形状や造成の高さについての調 整が必要となったため,クラスター事業用地の設計が変更されることに なり,土地形状及び実施設計の決定が当初の予定よりも遅れることにな った。
(エ) 堺市は,平成19年9月ころ,クラスター事業用地の土地形状を決 定し,同年10月15日,クラスター工事の実施設計を確定させ,同日, 堺市建築都市局B推進室において,A株式会社に対し随意契約の方法で クラスター工事を発注することにつき,施行令167条の2第1項6号 及び市要綱7条ただし書の適用の可否に関する稟議書を作成し,同月1 8日,被告堺市長がこれを決裁した。
(オ) 堺市は,A株式会社との間で,平成19年11月22日,クラスタ ー工事の請負契約につき仮契約を締結した。
(カ) 堺市は,C株式会社との間で,平成19年11月26日,クラスタ ー事業用地を無償で譲り受ける旨の契約を締結した。
同契約においては, 同用地の周辺で工事が行われる場合,堺市は工事車両が同用地に進入す ることを認め,その使用を妨げないよう配慮する旨の条項が定められて いた。
(キ) クラスター工事をA株式会社との間の随意契約の方法で行う旨の議 案は,第6回堺市議会(定例会)において提案され,建設委員会に付託 された。


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本件
原告
差止め

債務その他の義務
監査請求に対して監査委員は60日という比較的短い期間内に応 答すべきものとされており,本件において,その応答又は期間の経過を待たず に訴えを提起しなければならない特別な理由があったとは認め難い。近い将来 に瑕疵が治癒されることを見込んで訴えを提起するのは,監査請求の手続を有 名無実なものにするなどの弊害を招きかねず,法の趣旨にもとる不当なもので あることをあえて付言する次第である。
2 本件各工事の進行の差止請求に係る訴えの適法性について(本案前の争点i i)
原告らは,法242条の2第1項1号に基づき,本件各工事の進行の差止め を求めているところ,同号の差止請求の対象は,法242条1項所定の地方公 共団体の執行機関又は職員による同項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る 事実,すなわち,違法若しくは不当な公金の支出,財産の取得,管理若しくは 処分,契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担,違法若しく は不当に公金の賦課徴収,財産の管理を怠る事実に限られるものであり,これ ら以外のものを対象とする訴えは,法の認める住民訴訟の類型に該当しない不 適法なものとなる。